定義と射程。 エネルギーの海 (Energy Sea) は連続した背景媒体です。エネルギー・スレッド (Energy Threads) の積み重ねでも粒子の集まりでもなく、より基底にある、どこでも連結された場であり、組織化や再配置が可能です。伝播・案内・構造生成はすべてこの媒体で起こります。海は局所の伝播上限を定め、張力という方向性のある状態—「どれだけ強く、どちらへ引くか」—を担います。
I. 役割の分担:スレッド/粒子/波
エネルギー・スレッドは、条件が整ったとき海から引き出され束ねられる線状の素材で、粒子配置の原料です。安定粒子は、複数のエネルギー・スレッドが海の中で巻き付き、張力でロックされて自立化した構造です。光などの波は、海の中を伝わる張力変化であり、別の「もの」ではありません。要するに、海は担い案内し、スレッドは作り結び、波は海上を進みます。
II. 可逆な形態変換:引き出しと解糸
密度が高く、適切な張力と幾何拘束がある領域では、海は明瞭な線束へと自己組織化します(引き出し)。束が閉じてロックされれば安定粒子になります。拘束が弱まる、または強い擾乱が入ると、束や巻き付きは解けて海へ戻り、蓄えたエネルギーを擾乱パケットとして放ちます。この双方向変換は階層を変えません。海は常に基底媒体であり、スレッドと粒子は海の組織化状態です。
III. スケール層(近場から遠方へ)
エネルギーの海はスケールで層分けされますが、本質的には一つの媒体です。
- マイクロの海: 粒子やデバイスの直近の背景。微視的コヒーレンスと局所結合を決めます。
- ローカルの海: 天体や実験系の周囲のテクスチャ。観測される経路や偏向を制御します。
- マクロの海: 銀河から銀河団へと続く緩やかな地図。大域的な案内を形作ります。
- バックグラウンドの海: 宇宙の長期キャンバス。全体の伝播上限と基準の「拍」を設定します。
同じ物理が全層で働きますが、時間・空間スケールが異なるため、「安定/可変」の観測署名は層によって違って見えます。
IV. 生きている媒体:イベント駆動のリアルタイム再描画
エネルギーの海は事象によって絶えず書き換えられます。新しい巻き付きの誕生、既存構造の解体、強擾乱の通過は、張力と連結性をリアルタイムで再配置します。活性域はしだいに「高原」へと締まり、希薄域は局所平衡へと緩みます。したがって、伝播経路・有効屈折・局所の「速度制限」は時とともに測定可能な変動を示します。
V. 主要プロパティ
- 連続性と応答性: どこでも摂動可能で測れる応答を返す連続媒体。離散的なスレッド群ではなく、条件が満たされればスレッドを引き出せる基盤です。
- 海の密度(量): 応答やスレッド化に参与しうる物質量。密度が高いほど引き出し/巻き付きの確率が上がり、擾乱が希釈されにくくなります。
- 海の張力(引き方): 全体の締まり具合。局所応答の切れ味や伝播効率の基準となり、張力が高いほど伝播上限が上がり、粒子の固有リズムは遅くなります。
- 張力勾配の保持(案内能力): 空間に「締まり/緩み」のレリーフを安定に載せられます。勾配は案内路とマクロな「力」の向きを与え、事象後に再描画できます。
- 伝播上限(局所の速度天井): 所与の密度・張力で到達できる最大速度。あらゆる信号と波束はこの制約を受けます。
- コヒーレンススケール(同拍の射程): 位相と拍が揃い続ける距離・時間の最大値。大きいほど干渉・協調・遠隔一致が強まります。
- 減衰と粘性(損失プロファイル): 伝播中の減衰・拡散の傾向。減衰が強いほど信号は早く広がり、有効到達距離は短くなります。
- 連結度と界面(経路と欠陥): 経路の開放性や領域間の境界性状。断帯・欠陥・界面は反射・透過・散乱など可観測効果を生みます。
- 動的再構成とメモリ(イベント駆動): 外部事象が張力とテクスチャを即時に組み替えます。一部はヒステリシスや残差バイアスとして残り、追跡可能な「記憶」を形作ります。
- 引き出し/解糸チャネル(形態変換): エネルギーの海とエネルギー・スレッドの間に双方向・制御可能な変換があり、その閾値と速度が粒子の生成/消滅や背景擾乱の統計的地色を定めます。
VI. まとめ
エネルギーの海は、連続・連結・組織化可能な基底媒体です。伝播上限を定め、張力を担い—必要に応じて再描画します。その上で、スレッドは物質となり、粒子は結び目となり、波は遠くまで届きます。
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推奨表記:著者:「Guanglin Tu」;作品:『Energy Filament Theory』;出典:energyfilament.org;ライセンス:CC BY 4.0。
初公開: 2025-11-11|現行バージョン:v5.1
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