光は「エネルギーの海」を伝わる擾乱のパケットです。最大速度は宇宙のどこでも同じ一定値ではなく、その場所・その時点の媒体の張力によって定まります。張力が高いほど局所的な伝播上限は高くなり、張力が低いほど上限は低くなります。道中の張力分布に応じて、光の総走行時間は書き換えられます。
実験室では、私たちが用いる物差しや時計自体が環境と同調して変化します。そのため読み値はほぼ一定に保たれ、これを測定された光速と呼びます。
両者は両立します。すなわち、局所的な光速の上限は張力に応じて変わり得ますが、十分に局所的な実験で読む値は一定です。
直感のための身近な比喩
- 同じ太鼓の皮でも、強く張るほど響きは速く伝わります。
- 同じ弦でも、強く張るほど波の峰は素早く進みます。
- より「硬い」媒体では、音は速く伝わります。
要するに、より強い張りと素早い引き戻しがあれば、伝播は速くなります。
I. 張力が高いほど速くなる理由(直感の三点)
- 受け渡しが淀まない。 張力が高い媒体はまっすぐに張り詰めています。擾乱の後、強い復元作用がためらいなく働き、変位が次の微小要素へ速く伝わるため、波面は素早く前進します。
- 横方向の崩れを抑える。 張力が低いと、擾乱はふくらみや皺となって横へ散りがちです。張力が高ければこうした寄り道を抑え、エネルギーを進行方向へ集中させ、効率が上がります。
- 復元と抵抗の比が上がる。 「材料量」が同程度なら、張力が高いほど復元は強く、もたつきは小さくなります。群としてのふるまいは速度の上昇として現れます。
ひと言で言えば、高張力=強い復元+少ない遅れ+少ない横ぶれ ⇒ 速い伝播です。
II. 局所では不変、領域をまたげば可変(相対論との整合)
- 局所の一致。 十分小さな近傍に限れば、各自が自分の物差しと時計で測っても読み値は同じ c になります(基準系が環境と同じ仕方でスケールするため)。
- 経路依存の変動。 異なる張力の領域をまたぐと、局所上限は環境に応じて緩やかに変わり得ます。信号はどこでもその局所上限に到達も超過もしません。変わるのは上限そのものであって、信号が「上限を追い越す」わけではありません。
- 強重力近傍で遅延が正になる理由。 大質量天体の近くでは張力が高く、局所上限は大きくなります。しかし光路は大きく曲がり、経路が長くなります。経路延長による遅れが、上限上昇による加速効果を上回るため、総走行時間は増えます。観測される重力遅延と一致します。
III. 実験室で常に同じ c を得るのはなぜか
- 物差しと時計は外部ではない。 それらは局所の物質から成り、環境張力が変われば原子準位や固有周波数、材料応答も再スケールされます。
- 同調した道具で測る。 そのような基準を用いる限り、同じ局所上限は同じ数値として読まれます。
- 結論。 物理的な上限は局所で変わり得ても、測定値は一定であり得ます。前者は物理上の天井、後者は局所の読み値です。
IV. 初期宇宙の急速な均質化
中核の考え方。 最初期の宇宙では張力がきわめて高く、「エネルギーの海」は極端に張り詰めていました。局所の伝播上限は非常に大きく、情報やエネルギーの擾乱はごく短時間で非常に遠くまで行き来できました。その結果、温度やポテンシャルの差が素早く均され、今日見る大域的な均質性が形作られました。
- 「空間の急膨張」を要さない理由。 標準像では、遠く離れた領域どうしが接触し得たことを説明するため、空間そのものが急速に膨張したと想定します。ここでは物性的な仕組みで説明します。すなわち、高張力 ⇒ 高上限 ⇒ 擾乱の迅速な相互連絡であり、別立てのインフレーション段階は不要です(8.3 節参照)。
- その後の「音響的現象」との区別。 もう少し後のプラズマ期でも背景張力は比較的高かったものの、強い結合と多重散乱により、集団的な音波の有効巡航速度は局所上限を下回りました。この時期は構造に「好まれる間隔」を刻みましたが、「インフレーションなしでも均質化できる」という結論は変わりません。
V. 観測の手がかりと比較(一般読者向け)
- まずは無次元の比を見る。 遠く離れた領域を比べる際は、同起源線の周波数比、光度曲線の形状比、強重力レンズの多重像あいだの遅延比など、無次元の指標を優先します。基準と対象が一緒に漂う効果を、定数変化と取り違えるのを避けられます。
- 「共通のオフセット+安定な比」を探す。 強いレンズや極端な視線方向で、像やメッセンジャー間の遅延の比が安定のまま、絶対時間だけが一様にずれるなら、「張力が形づくる局所上限+経路幾何」の寄与が示唆されます。源領域の遅延や周波数依存の分散よりも自然です。
- 長い経路ほど敏感。 地上や地球近傍のように張力がほぼ一様な環境では、何度測っても同じ値になります。長距離を横断したり極端な環境を通過したりする経路ほど、差が現れやすくなります。
VI. 要するに
- 局所の天井は張力が定めます。 強く張れば速く、緩めば遅くなります。測定値は局所の道具が定めます。 十分小さな領域では常に c です。
- 天井はポテンシャルが、時計は幾何が決めます。 上限は局所張力から、総時間は張力分布と経路形状から決まります。
- 相対論と矛盾しません。 十分に局所的な領域では上限は観測者に依らず同じで、違いは領域をまたぐときに積み上がります。
- 初期宇宙。 非常に高い張力が擾乱のほぼ瞬時の相互連絡を可能にし、インフレーション段階を仮定しなくても急速な均質化を実現し得ます(8.3 節参照)。
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推奨表記:著者:「Guanglin Tu」;作品:『Energy Filament Theory』;出典:energyfilament.org;ライセンス:CC BY 4.0。
初公開: 2025-11-11|現行バージョン:v5.1
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