エネルギー・スレッド理論(EFT)では、測定は 結合 → クローズ(閉鎖) → メモリ の三段階で進みます。干渉縞が保たれるか、薄れるか、消えるかは、この順序で決まります。
I. 二重スリット装置が示すこと
- 装置: 光源を極端に弱め、同時に一つの単位だけが放出されるようにします。前面に二つの細いスリット、背面に単一到来を数えるスクリーンを置きます。必要に応じて、スリット付近または直後に探針や光学素子を挿入します。
- ケース1:経路を読まない。 両スリットを開け、経路を区別する要素は置きません。点が一つずつ蓄積し、やがて明暗の縞が立ち上がります。単発は点、長時間は縞です。
- ケース2:どのスリットかを読む。 異なる偏光子、位相タグ、あるいは高感度プローブで経路を区別します。縞は消え、スクリーンには二つの幅広いピークが残ります。到来は依然として点ですが、統計が変わります。
- ケース3:弱い経路読み。 ごく弱いプローブや、後で消せる微小マークを入れます。縞は残るもののコントラストが低下します。結合が強いほど淡くなります。
変えるのは 経路側 だけです。光源とスクリーンは同じで、干渉の基盤の有無と鮮明さだけが変わります。
II. EFTの中核:結合 → 閉鎖 → メモリ
- 結合:張力の地形を書き換える。 光は 張力(Tension) の摂動パケットで、エネルギーの海(Energy Sea, EFT) を伝搬します。二つのスリットは、伝達が通りやすい帯・通りにくい帯が刻まれた 案内地図(Path) を形成します。プローブを入れると新しい構造が場に結合し、二経路の位相の歩調を部分的または完全に乱します。書き換えが強いほど、干渉の土台は平坦化します。空間変化は 張力勾配(Tension Gradient) で表します。
- 閉鎖:単発事象を特定位置に固定。 パケットが局所的にエネルギー交換を果たし、閉鎖 のしきいを越えると、事象はある時間と場所に固定されます。以後、もう一方の経路は干渉に寄与できません。閉鎖は経路上でもスクリーン上でも起こり、結合の強さや幾何で決まります。
- メモリ:選択を可読な結果へ増幅。 閉鎖はミクロです。可視の結果にするには、装置が 増幅 し 記録(メモリ書き込み) する必要があります。針の偏向、ピクセル反転、電荷蓄積など。メモリが書かれた瞬間、過程は不可逆になり、失われた縞は戻りません。
三つのケースに当てはめると:経路を読まなければ結合は極めて弱く、閉鎖はスクリーンで起こるため縞が鮮明。経路を読めばスリット側で強く結合・閉鎖し、地図が書き換わって遠方の干渉は形成されません。弱い読みにすれば書き換えは部分的で、コントラストだけが下がります。
III. 遅延選択を同じ言葉で
- 要点: 二経路を並走させたまま最後に選びます。干渉に向けて合流させるか、分離してどちらの経路かを読むか。マッハ–ツェンダー干渉計なら、終端近くで第二ビームスプリッタを挿入・撤去する操作に相当します。重力レンズの二経路でも、望遠鏡側で像形成か干渉出力かを選べます。
- 現象: 第二スプリッタを入れれば明るい出力と暗いポートが現れます。外せば、それぞれのポートが経路統計を与えます。選択は検出直前まで遅らせても、結果は最終選択に厳密に従います。
- 解釈: 遅れるのは 閉鎖の様式 であって、過去への信号ではありません。途中で強い結合が歩調を壊さない限り、場は 干渉可能 な状態を保ちます。スプリッタの挿抜は、閉鎖の 終端境界条件 を事前に設定することです。干渉で閉鎖すれば二経路は末端で重ね合わさり、案内地図が明暗を与えます。経路で閉鎖すれば二腕は別々に閉じて記録されます。逆因果は不要です。
IV. 量子消去:やはり結合 → 閉鎖 → メモリ
- 要点: まず二経路に弱いマーク(たとえば異なる偏光)を付けます。続いて終端で、そのマークを消すか、両経路を同じ向きに回転させます。コインシデンス計数を用い、実際に消去が達成されたサブサンプルだけを集計します。
- 現象: もしマークがすでに メモリ として増幅・記録されていれば、縞は戻りません。記録が 潜在的 な段階に留まり、閉鎖前 に完全に消去されたなら、条件付き統計で縞が復活します。不完全な消去なら回復も部分的です。
- 解釈: マーク付与は案内地図の書き換えです。閉鎖までに歩調を復元でき、途中でメモリを書かなければ、末端で干渉の土台が再形成されます。したがって、整合したサブサンプルに縞が現れます。いったん記録されていれば不可逆なので、消去は無効です。
V. よくある誤解―短い整理
- 測定は観察ではない:新たな 結合 を入れ、地図を書き換え、閉鎖を前倒しし得ます。
- 「収縮」は神秘的瞬間ではない:結合・閉鎖・メモリという手続きの巨視的な見かけです。
- 遅延選択は過去を変えない:閉鎖前に終端境界条件を選ぶだけです。
- 量子消去は奇術ではない:マークを消し、歩調を整え、道中の記録を避けます。
VI. 要するに(4行)
- 縞は前もって刻まれた案内地図から生まれ、点列は閉鎖しきいと記録で生まれます。
- 測定=結合・閉鎖・メモリ。結合が強いほど干渉の土台は平坦化し、縞は弱まります。
- 遅延選択が決めるのは 閉鎖様式 であって、時間逆行ではありません。
- 量子消去が縞を戻せるのは、記録がなく完全消去できたときだけです。
付録 — 弱測定ファミリー(EFTガイド)
- 弱測定: 結合もエネルギー交換も小さく、歩調の乱れは軽微。地図は部分的に書き換わり、コントラストは下がるが縞は残ります。
- 連続弱測定: 小さな結合が積み重なり、デコヒーレンスが段階的に増大。地図はフレームごとに薄れ、縞はぼやけます。
- 量子消去: 先にマークし、閉鎖前に消す。巨視的メモリを書かないこと。完全消去と適切な条件づけがあれば、縞が対応サンプルで復帰します。
- 遅延選択: 閉鎖方式の選択を末端まで遅らせる(干渉か経路か)。逆因果はなし。
- 保護測定と「弱値」: 強い保護下でほぼゼロ交換の読み出し。地図の改変を最小限に、局所位相や分布だけを取り出し、閉鎖は実質的に読出し後へ。
- 無相互作用測定: 境界条件を変えて片腕を遮り、他方のポートの確率をシフトさせます。直接のエネルギー交換がなくても地図は書き換わるため、統計で物体の存在を示せます。
- 経路判別性と縞可視性のトレードオフ: ラベルが鮮明になるほど歩調は失われ、基盤が抑圧。曖昧になるほど基盤が強化されます。
著作権・ライセンス(CC BY 4.0)
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推奨表記:著者:「Guanglin Tu」;作品:『Energy Filament Theory』;出典:energyfilament.org;ライセンス:CC BY 4.0。
初公開: 2025-11-11|現行バージョン:v5.1
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